諸々日記

雑記を書くスペース → 小説置き場へと変貌中。→再び雑記置き場へ?

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異空間

文字数470字です。







 深夜。明かりのない殺風景な事務室。眠らぬ街の喧騒も、彼のいる部屋までは届かない。彼はいつものように、窓から漏れる微光を頼りに、銃の手入れをする。
 三年間毎日繰り返した作業は、考えずとも身体が覚えている。それでも彼は、一切の抜かりがないよう、黙々と、念入りに整備をする。彼の銃は一度も使われたことがない。それでも毎晩毎夜銃を眺め、調整をするのは、自分自身の気持ちに揺らぎがないかを確かめるためだった。
 揺らぐことなど一度もなかった。選んだ道に後悔もない。だが時折、虚無感が全身を包むのが彼にはわかる。だからといって、自分にはどうすることもできないということも。
 時計が午前二時を指す。時間だ。銃の整備は終わっている。彼はそれを鞄の底に沈め、扉の脇にかけたジャケットを羽織る。鞄を持って外に出る。彼には約束があるのだ。
 眠らぬ街を彼は歩く。人通りは昼間と比べるとずいぶん少なくなったが、それでも街はぎらぎらと明るい。キャバクラの客引きに声をかけられるが、彼は笑みを作って丁重に断る。周囲の喧騒も、彼には届かない。
 眠らぬ街を歩く彼は、一人違う世界に住んでいる。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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