諸々日記

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くさび

文字数1000字です。










 その街では、女子高生ばかり狙われる誘拐事件が起き続けていた。
 誘拐とは言うが、その目的は全く不明だった。少女たちは行方が知れなくなってから、いつもきっかり二日後に解放された。しかし、親に金銭を要求されるわけでもなく、戻ってきた少女たちに乱暴された形跡も一切見当たらない。犯人は、少女たちをただ連れ去るだけなのだ。そして彼女たちはその間の記憶がまるでなかった。
 何もされないとはいえ、誰かに連れ去られていることは事実だ。少女たちは夕方以降の外出を許されなくなり、街はどこか不穏な雰囲気が漂っていた。十二月の中旬のことである。
 
 十二月二十四日、全ての謎が解決した。
 きっかけは一本の剣だった。
 ファンタジー映画に出てくるような西洋式の剣を、草むらで遊んでいた小学生の女の子が見つけた。
 地面に深々と突き刺さった西洋剣は、現代にはまるで不似合いだった。女の子は当然、不思議に思ったらしい。友達も連れてきて、その剣を引っ張ってみた。
 するっと抜けた、と女の子は語った。
 抜けたと思ったら、気づいた時にはそこに男が立っていたのだという。
 女の子の話を聞いたが半信半疑だった大人たちは、現場に赴き、彼女が正しかったことを知った。
 軽鎧に胸当て、革の手袋などを身につけた、これまたファンタジー映画に出てくるような格好をした青年は、やってきた大人たちに無邪気な表情を見せた。
「いや、お騒がせしました。この子のおかげで、ようやく帰ることができる」
 雪が散る中、想像の世界から飛び出してきたような姿の青年と、スーツ姿の大人たちが集まっている光景は奇妙だったに違いない。
 この剣には怨念が籠もっているのです、と青年は真面目な顔で言った。
「何故かはわかりませんが、刺さっている間は女の子にしか見えないし、抜けない剣なのです。そこで剣を抜き彼の怨念を解き放つため、様々な女性たちに力を貸していただいたのですが……。まさかこんな小さな子が抜くとは」
 世の中何があるかわかりませんね。そう言い残して、青年は消えた。
 調べてみると、男女関係のもつれから、親友に剣で貫かれて死んだ青年の話が古代の神話に残っていることがわかった。あの青年と同一人物だろうというのが、多数説となった。
 ──後の世。その神話には以下のような追記がされることとなった。
『尚、この青年が霊として現れたという逸話が残っていて、当時の映像記録もある。その時の青年の弁から、彼を殺した親友は少女趣味だったのではないかという推測がなされており、研究者の関心を集めている』
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